今年も九州全域で大雨による甚大な被害が出ました。7月の集中豪雨では、球磨川流域を中心に熊本県南部の各地で24時間雨量が観測史上最大を記録しました。「記録的豪雨」「観測史上最大」「数十年に一度の災害」。最近では毎年のようにそんなフレーズを耳にするようになっています。津波のための防潮堤も役に立たず、それは数十年間のデータから導いた想定の枠を超えていたからだとか、建築基準法を見直してより堅牢な建物しか認めないようにしたとか、全て専門家による検証を行って導き出した数値が意味のないものであったことを、自然の驚異は一瞬で証明してくれます。
いま私たちは自然とどう向き合うべきかを迫られています。西洋的に自然と対峙してコントロールする手法を考えるのか、それとも、足るを知ることで、自然と共生する生き方を模索するのか。大きく二つの方向性で、世界はせめぎあっています。西欧資本主義文明国のグループは、長い間、人間が自然をも支配することを目的として、世界経済が動いています。国連の提唱するSDGsだってそうです。経済でいかに自然をコントロールするかがテーマです。人類は、長い間、自然のなかで暮らす人びとの生き方や知恵から学ぼうとしてきたのですが、近代100年の文明は私たちの意識まですっかり変えてしまったようです。今では、すっかり人間中心主義が世界に蔓延し、個人中心主義が利己的な社会を構成しています。
ここで、ちょっと立ち止まって、現代人が忘れかけた自然環境との向き合い方を考え直し、自然環境との向き合い方を見つめなおすタイミングなのかもしれません。食物連鎖の頂点に君臨する人間こそが、まず自らを戒めなければならない時期に差し掛かっているのかもしれません。古来より受け継がれてきた先人たちの智慧や支店、考え方を改めて学ばせていただくことが必要なのかもしれません。科学の進展は、必ずしも自然をコントロールすることができないことを、すでに私たちは知っているはずです。
日の出の時刻に綺麗な青空を見ることができるということをご存知でしょうか。朝陽は、限りなく広がる雄大な空一面を照らし、「最も新鮮、且つ、純粋無垢な青空」を私たち人間に見せてくれます。木々や植物など、森に自分の身を置き、そこで静かに自分を見詰め直してみてください。都会の喧騒から離れ、静寂の中で「自然」と向き合うと、きっと、何かが見えてきます。「自然との対話」は「自分は何者であるか」という問いにきっと答えを導いてくれます。決して自然をコントロールしようとしないでください。自分自身も自然の一部であることを理解して、自然と一体になってください。
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